特集:地域別オーナーインタビュー
「ゼロからでもまた選びたい仕事」と語る倉田オーナーに、成功の秘訣と今後の展望について伺いました。
おそうじ本舗を知ったきっかけは何ですか?
もともと物流の仕事をしていて、人に感謝される経験があまりなかったんです。でも、ある時、同級生の仕事を手伝ったら、お客様から「ありがとう」って感謝されているのを見て、「こんな世界があるんだ」と驚きました。その友人に話を聞いたら「こういうの普通だよ」と言われて、さらに「掃除業界でも同じようなことがあるらしいよ」と話を聞いたのがきっかけでした。そこから興味を持って、おそうじ本舗や他のFCのことを調べて、説明を聞きに行ったのが加盟のきっかけです。
独立に対して家族の反応を教えてください
家族は少し不安に感じていたかもしれません。でも、私が「これをやりたい」と思ったことには、基本的に反対されることはありませんでした。社会人になったときから、「毎月決まった額は家に入れる」という約束をずっと守ってきていて、それが信頼の土台になっていたのだと思います。
実は、前職の頃のほうが、妻には「本当に辛そうだった」と言われました。物流業界は常に人手不足やシステムのトラブル、効率を求められるプレッシャーがあって、心の余裕がまったくなかったんです。
おそうじ本舗を始めて数年たった頃、妻に「当時は鬼みたいに怒ってたよね」と笑って言われて、ハッとしました。
だからこそ、初めて従業員を雇おうとしたときは、妻から強く反対されました。人を雇うということは、責任も、リスクも増える。その重みが、きっと見えていたんだと思います。それでも、その他のことについては、私を信じて任せてくれています。
私は、家族にとって理想的な父親ではなかったと思っています。行事もほとんど仕事優先で、子どもの出番だけ見て、すぐに職場に戻るような日々でした。
それでも支えてくれた妻には、本当に感謝しています。こうして振り返る機会をいただけたことに、素直にありがたいと思っています。
お客様を増やすコツを教えてください
おうちに入っての最初の1分がすべてだと思っています。玄関の写真や靴の数から、「こんなご家族なんだな」と想像して、そこから自然に会話を始めるようにしています。ペットの話題は特に反応がよくて、そこから信頼関係ができることも多いんです。
私の場合、作業中もお客様と会話していることが多いですね。もちろん、お客様のお仕事中だったり、ご都合がある場合は無理にお声がけしませんし、「この時間は静かにしてほしい」と言っていただければ、そのように対応しています。
以前、お風呂掃除に4時間かかってしまったときに、「何をしているのか分からない」と言われたことがあって、そのときハッとしたんです。お客様にとっては“見えない時間”なんですよね。だからこそ、要所要所で「ここはこうなります」「ここは劣化しています」と、丁寧に説明するようにしています。
言葉だけでなく、ちゃんと理解してもらえているかどうかを確認しながら進めないと、仕上がったときに「思っていたのと違う」となってしまう。それがクレームにつながってしまうこともあるので、声かけと確認は本当に大切にしています。
なぜ“個人”から“法人”へとステップアップしたのですか?
法人化したのは、これからの展開を考えたときに、「私一人で全てを采配するやり方には限界がある」と感じたからです。現場で「これでいいですか?」と聞かれて、私が「いいんじゃない?」と答えるだけではなく、それぞれが自分で判断し、責任を持って動ける体制をつくりたいと思いました。それが、会社として継続していくためにも必要だと感じたんです。
また、ホームセンターなどの提携先(※)と取引する際に、「法人であること」が条件になるケースも多く、そういった面でも法人化は必要でした。
現在は、たとえば3名必要な現場であれば、自社メンバーに加え、仲の良い店舗や新人店舗とチームを組むこともあります。作業の質を共有しながら、みんなで成長していけるような体制づくりに取り組んでいます。
※おそうじ本舗本部と提携している取引先からの案件を加盟店へご紹介する制度があります。各案件の紹介には条件があり、全加盟店に案件紹介を保証するものではありません。
年商を教えてください
年商は昨年で8,500万くらいです。感覚的には「そんなに儲かったかな?」って思うんですけど、税理士さんには「この業界ではかなり利益が出てる方だよ」って言われました。正社員が2名、アルバイトが3名ほどいて、今は基本1名で現場に行って、必要に応じてサポートを入れる形が多いですね。
複数店舗にしようとした理由は?
複数店舗をやってみようと思ったのは、まず仲間がしっかり育ってきたというのが大きな理由のひとつです。それに、私自身、自分がやってきたやり方がすべて正解だとは思っていなくて。だからこそ、スタッフ一人ひとりが、自分のスタイルで挑戦できる場所をつくりたいと思ったんです。
私自身、変わることにあまり抵抗がないタイプですし、そういう柔軟さがあるほうが、チーム全体としても強くなれるんじゃないかと感じています。それに、もし私がこの先現場から離れることがあっても、誰も困らないような体制にしておきたいという気持ちもありました。
もちろん、最初は集客に苦戦した時期もありました。でも、早い段階で従業員を迎え入れたことで、「この子を食わせなきゃ」という責任感が生まれて、それが私にとってはプレッシャーというより、むしろ目標になっていたんです。
掃除の仕事って、理屈があるからこそ考えるのが楽しいんですよね。「どうしたらもっときれいになるか」を、仲間と一緒に試行錯誤してきたからこそ、今の技術力や信頼につながっていると思います。ここまで来られたのは、一人ではなかったからこそです。
お休みの日の過ごし方を教えてください
コロナをきっかけに、初めて妻と二人で旅行に行くようになり、今では定期的に楽しむようになりました。子どもたちも成長してきたので、少しでも妻に恩返しができればという思いもあります。
以前は売上を気にして、なかなか休みを取ることができなかったのですが、今では従業員に任せることで、旅行にも行けるようになりました。時間の使い方は自分次第なんだと、あらためて実感しています。
本部のSV(スーパーバイザー)に相談してよかったなと感じたのは、どんなときですか?
困ったときに相談できる存在はやっぱり助かります。特にクレーム対応に関しては、どう反応すべきか分からないことが多く、その時にSVに連絡してアドバイスをもらうと、気持ちが楽になります。クレームを受けると追い込まれがちですが、本部の人間でも、まるで仲間のように感じられることが大きな支えです。
おそうじ本舗を続けて感じたことを教えてください
集客には自分の努力が必要で、貪欲に続けていかないと難しいと感じています。本部がすべてをやってくれるわけではないので、長く続けていくには、自分で考えて動く力が欠かせません。
片手間ではできない仕事ですが、お客様から「ありがとう」と言ってもらえるのが本当に嬉しくて、それがやりがいにもなっています。そうした積み重ねが、結果的に収益にもつながっていると思います。
法人として運営するうえでは、従業員との信頼関係もとても大切です。本気で向き合えば、仲間として一緒に頑張ってくれるという実感があります。私はこの仕事をやってよかったと心から思っていますし、不満はありません。収入も、これからもっと伸ばしていきたいですね。
もし私が今ゼロからスタートすることになっても、正直、おそうじ本舗ならまたやってもいいかなと思えるんです。2店舗目をやってみようかなと思えるのも、その延長線上にあります。他のことでゼロから何か始めるくらいなら、「1店舗目をちゃんとやれてるんだから、2店舗目もなんとかなるんじゃない?」って。ちょっと軽い気持ちかもしれませんが、そんなふうに考えています。
オーナーインタビュー実施日:2025年1月10日