未経験からのハウスクリーニング独立で失敗しないための準備と注意点

未経験からのハウスクリーニング独立がオススメな理由

未経験からの独立にハウスクリーニングがオススメな理由は、次のとおりです。

清掃ニーズが増加している

ハウスクリーニングサービスを含む生活支援サービスの主要5分野（家事代行サービス、ハウスクリーニングサービス、ホームセキュリティ、見守りサービス、家具・家電レンタルサービス）の市場規模は、2023年度は前年度比4.2％増の5,633億円と推計されております^※。

※出所：株式会社矢野経済研究所「住まいと生活支援サービスに関する調査（2024年）」（2024年7月29日発表）

高齢化や共働き世帯の増加により、家事負担を軽減したいというニーズが年々拡大する傾向があります。さらに、ルームエアコンを代表とする複雑な機能をもつ家電を個人でメンテナンスするのは難しく、専門業者にクリーニング依頼するニーズも一般化してきているとも言えるでしょう。

資格が不要で未経験でも始めやすい

ハウスクリーニング業は国家資格や行政許認可が不要なため、開業のハードルが低いのが特徴です。民間スクールやオンライン講座で、洗剤や機材の使い方、衛生管理の基礎などを学べば、短期間でも技術を習得することができます。また、研修制度のあるフランチャイズに参加すれば、未経験でもカリキュラムに沿って開業まで進められるでしょう。

少ない初期コストで始められる

ハウスクリーニングは、他業種のフランチャイズと異なり店舗を構える必要がなく、自宅を事務所として利用できるため、比較的少ない初期費用で開業できます。準備するものは基本的な清掃用具や資材が中心であり、大きな設備投資は不要です。さらに、活動エリアを周辺地域に限定すれば移動コストも抑えられ、効率よく事業をスタートできるでしょう。

未経験から成功するためのポイント

未経験でハウスクリーニング業に飛び込む際、技術だけでなく「準備」「対応」「姿勢」の3つが成功の鍵となります。

独立前に基礎知識を身につけておく

開業前にまず、汚れに適した洗剤の種類や成分、業務用清掃機材の操作を理解し、掃除箇所ごとの適切な清掃手順を習得しましょう。さらに、見積り書・請求書の作成、帳簿管理といった事務フロー、資金計画の立て方まで把握します。民間スクールやオンライン講座で基礎知識を固めることも、開業後の失敗リスクを大幅に減らすことに役立つでしょう。

顧客対応に必要なコミュニケーション術を知る

顧客対応では、事前のヒアリングで要望や困りごとを正確に把握し、清掃作業実施前後の電話やメールでのフォローを欠かさないことが重要です。清掃作業後の状態も顧客へ報告するようにしましょう。さらに、事後アンケートを取り満足度を把握し、次回提案につなげる工夫をするなどリピート率向上に向けて努力すると良いでしょう。

プロとしての心構えを持つ

プロの心構えとして重要なのは、確かな技術力と顧客満足度の両立です。作業では素材や汚れの種類に応じた最適な洗剤や道具を選び、丁寧かつ効率的に清掃を行うことが求められます。技術の向上には研修や最新の清掃法の習得が欠かせず、常に品質を一定以上に保つ意識が必要です。

さらに、仕上がりに対する顧客の要望を丁寧にヒアリングするとともに、作業後のアフターフォローを怠らず、長期的な関係構築を意識しましょう。

資金ゼロから始める現実的な資金計画

ハウスクリーニング独立にあたり、自己資金が心もとなかったとしても、無理なくスタートするための資金計画のポイントを見ていきましょう。

コストを抑える工夫ポイント

コストを抑える工夫ポイントには以下が挙げられます。

・中古機材・レンタル活用：中古の掃除機や高圧洗浄機を購入、またはレンタルで初期費用を圧縮
・自宅兼事務所運用：店舗や事務所を借りず自宅を拠点とし、店舗物件の費用負担を抑える
・自作チラシ＋無料SNS集客：チラシデザインを自作しオンデマンド印刷、SNSや無料ポータルで集客
・消耗品は業務用卸価格でまとめ買い：洗剤やクロス類を卸業者と契約して一括購入し、単価を下げる

具体的な資金調達方法

まずは自身が無理なく捻出できる費用を確保します。その上で、各自治体の助成金などの制度を活用すれば、開業リスクを軽減できるでしょう。さらに、クラウドファンディングを通じて前払いチケットやリターンを設定すると、開業資金と同時に未来の顧客を獲得できるという二重の効果が期待できるという手段もあります。前払式支払手段は資金決済法の適用を受ける他、クラウドファンディングには各種法規制がありますので、検討の際には確認しましょう。

未経験独立でよくある失敗とその対策

資金ショートや集客不足、価格競争などといったよくある失敗を分析しながら、具体的な予防策を解説します。

資金ショートを防ぐ資金繰り術

資金ショートを防ぐには、3か月分以上の運転資金を手元に確保し、売上回収と支払いスケジュールを明確に管理することが重要です。月々のキャッシュフロー表を作成し、現金残高を可視化しましょう。この他、安定的な仕事の依頼数を確保するために、定期契約のプランを導入や法人案件の獲得、または事業への出資など資金調達手段も事前に確認しておくと安心です。

ターゲット不明による受注不足の回避方法

受注不足は、ターゲットが曖昧なまま営業することが原因の1つです。まずは高齢者、共働き世帯、法人オフィスなどペルソナ像を明確化し、それぞれに合ったサービスプランを設計しましょう。さらに、テストマーケティングや簡易アンケートで需要を検証し、反応の良いエリアや層に的を絞って集中することで、効果的なアプローチにつながる可能性があります。

価格競争に巻き込まれないための差別化戦略

やみくもに単価を下げるのではなく、オプションや専門性で付加価値を提供しましょう。抗菌コートやエアコン分解洗浄、環境配慮型洗剤の使用など、標準清掃にプラスしたサービスを用意することで、価格競争から一線を画すのもひとつです。また、サービスに対してどのようなこだわりがあるのかを明確にして、お客様から選ばれるためにその理由を発信するようにしましょう。

クレーム・トラブル対応のマニュアル化

顧客からのクレームやトラブルについて対応マニュアルを作成します。現地確認用のチェックシートや、謝罪と再清掃の手順を文書化し、トラブル発生時に迅速に対応できるよう準備しておきましょう。スタッフを雇用している場合には、定期的な技術研修を実施し、トラブルが起こらないようにサービスの均一化を図ることも重要です。加えて、クレーム対応後のフォローアップ手順を明確にして顧客満足度を回復し、再発防止に向けた取り組みを行いましょう。

他社と差をつける価格設定＆メニュー構成

市場相場を把握し、自社の強みを生かした価格設定や、多彩なメニュー構成のポイントを解説します。

ハウスクリーニングの費用相場を調査

ハウスクリーニングの費用相場は、間取りと居住状況で大きく異なります。部屋数が多いほど、クリーニング面積が広いほど、費用は高くなるのが一般的です。さらに、同じ間取りでも入居中かどうか、汚れの程度はどのくらいかによっても費用は変動します。地域ごとにも費用相場があるため、競合サービスの価格帯なども調べて適切な料金を設定することが大切です。

オプションメニューで客単価アップ

基本プランに加えてエアコン分解洗浄、洗濯機分解クリーニングなど、専門性の高い作業をオプション化します。オプションメニューで追加料金を設定したり、清掃する箇所を複数まとめて依頼することを促すことで、効率的な客単価の引き上げにつながるでしょう。

パッケージプランでニーズ喚起

複数の清掃サービスをパッケージにすると、浴室やトイレ、キッチン、レンジフードといった水まわりを一度にまとめて依頼できるので、顧客にとって分かりやすく注文しやすいプランになります。具体的な料金水準は業者によって異なりますが、複数サービスをまとめることで価格的なメリットを打ち出すなど検討すれば、顧客満足度と客単価の双方を高める戦略につながるでしょう。

開業後の運営管理

顧客フォローやリピート施策、業務効率化ツール導入、スタッフ育成などによる安定運営のポイントを紹介します。

清掃サービス完了後の顧客フォロー

サービス完了後は、ご依頼いただいたお客様に、クリーニングによりキレイになった対象箇所を一緒にご確認いただきながら清掃状況の説明をしましょう。お客様に安心していただくことで、その後の不満やトラブル防止にもつながります。

リピート率を上げるフォロー施策

初回作業後のアフターフォローは、顧客との関係を深めリピート率を高めるチャンスです。作業後に電話やメールで「仕上がりはいかがでしたか」と確認するだけでも、誠実な姿勢が伝わります。また、季節の節目や年末年始にDMを送付することで、自然と次回利用を促せるでしょう。丁寧で継続的なコミュニケーションをすることで顧客定着につながるでしょう。

業務効率化ツールの活用

開業後は清掃作業だけでなく、見積り書・請求書の作成や入金管理、スケジュール調整といった事務作業も発生します。これらを効率化するために、会計ソフトやカレンダーアプリを活用すると良いでしょう。特に会計ソフトは経費入力や売上集計を自動化できるため、決算処理の負担を大幅に軽減できます。

スタッフ雇用で事業拡大

受注件数が安定的に増えてきた段階では、スタッフ採用して業務分担をする必要になることもあります。ハウスクリーニングの現場では、作業を実地で学ぶOJT（On-the-Job-Training/オン・ザ・ジョブ・トレーニング）形式となるため、どの部分から新しいスタッフに任せるかなどの手順を決めておくと良いでしょう。また、経験の浅いスタッフが対応した作業内容を確認することで、担当者の技術向上もしかり、ご依頼いただいたお客様に満足いただける品質かどうか意識しましょう。

スタッフのサービス品質を標準化することで、顧客満足度を維持しつつ事業を拡大を狙います。また、一定のスタッフ育成体制が整った後は、営業エリアの拡大や複数拠点展開を視野に入れた戦略を描けるでしょう。

まとめ

ハウスクリーニングは一般の家庭やオフィスの清掃を専門的に行う仕事で、未経験からのハウスクリーニング独立の場合エアコンや浴室、キッチンなど対象箇所別に専門知識と清掃技術の習得が必要です。実務経験を積み重ね、まずはハウスクリーニングの経験値を上げていきましょう。

近年は共働き世帯や高齢者世帯の増加で需要が拡大しており、料金相場を把握し差別化メニューを導入すれば収益性を高められ、将来的にはスタッフ採用や拠点展開による成長も望める事業モデルと言えるでしょう。